旅旅

今治城の足元に広がる吹揚公園 城、神社、お堀が重なる今治市中心部の景色

愛媛県今治市通町3丁目1 吹揚公園

(2026/09/08 更新)

今治城の城跡として残る吹揚公園

吹揚公園は、今治市中心部にある公園で、今治城の城跡として知られています。今治城のたもとに広がるこの場所は、城を見るために訪れても、公園全体を歩くことで別の表情が見えてくるのが印象的です。

公園内には今治城だけでなく、吹揚神社や稲荷神社などもあり、城と神社が同じ空間に重なっています。石垣やお堀を含めて一帯を眺めると、ひとつの観光施設というより、街の中に歴史の層がそのまま残されているように感じられます。

石垣とお堀に目が向く場所

吹揚公園の見どころとして、石垣のつくりが挙げられます。見学者の記録には、穴の空いた石や文字が刻まれた石があったという声もあり、細部まで見ると石垣そのものに目が留まります。自然科学館の展示説明では、石垣の白い石が大理石だと案内されていたようで、城の景観の中に少し意外な素材感が混じっています。

また、お堀は今治の海とつながっているとされ、海の魚と淡水魚が一緒に生息しているという案内も見られます。案内板には馬面はぎやスズキ、メダカなどの名があったとのことで、城のお堀でありながら、水辺の生きものに目を向けられる点も、この場所らしさのひとつです。上からお堀を間近に見られる景色は、城下の水辺を実感しやすい場面といえます。

神社が集まる一角と赤い鳥居

吹揚神社のたもとには五つの神社が集まっているという声もあり、城の周囲に小さな信仰の場が重なっていることがうかがえます。なかでも稲荷神社の真っ赤な鳥居は目を引きやすく、公園内でひときわ色の印象が強い場所です。

城と神社が並ぶ構成は、今治城を中心に広がる吹揚公園の景色に、歴史と祈りの気配を添えています。きらびやかというより、長く積み重ねられてきた土地の記憶が、そのまま一帯に残っているような印象です。

天守閣の展示と上階からの眺め

今治城の天守閣は階段で上がるつくりですが、各階に展示物があるため、下から順に見ていくと登る負担が少しやわらぎます。展示物の撮影は禁止されているため、見学の際は案内に従って静かに鑑賞する流れになります。

天守閣からは、しまなみの景色や海、山、街並みが見渡せるとされ、城の高い位置から今治の地形を感じられます。城郭の内部と外の風景がつながることで、今治という土地の広がりが見えやすくなります。

かつての小さな動物園の記憶

公園内には、昔は無料の小さな動物園があり、猿や孔雀、タヌキが飼われていたという記憶も残されています。子どもの頃に孔雀の前で拍手をすると羽を広げてくれると聞いて、何度も拍手しに行ったという思い出には、今では見えない公園の時間が感じられます。

孔雀が羽を広げる様子は、見ている側には印象深い出来事でも、動物にとっては音への反応だったのかもしれません。そうした昔の話も含めて、吹揚公園は城跡としてだけでなく、地域の記憶を受け止めてきた場所として見えてきます。

今治の街とつながる公園

吹揚公園は、今治城を目当てに訪れても、公園全体を歩くことで城・神社・お堀・石垣が一体になった景色を確認できる場所です。今治市街の中心にあり、城跡としての落ち着きと、日常の散策先としての気軽さが同居しています。

平成19年には鉄御門が再建されたとされ、歴史の痕跡を残しながらも、今の今治の街の中で見学しやすい形に整えられています。桜の時期には公園内の花が一斉に開くと案内されており、季節によっても印象が変わる公園です。

城を見る場所でありながら、石垣、水辺、神社、そしてかつての動物園の記憶まで重なる吹揚公園。今治の中心で、街の時間が静かに積み重なっていることを感じさせる一角です。