旅旅

飛騨古川・瀬戸川用水を歩く 白壁土蔵と錦鯉がつくる町並み

岐阜県飛騨市古川町壱之町7 瀬戸川

(2026/09/26 更新)

瀬戸川用水のある飛騨古川

飛騨市古川町の中心部を流れる瀬戸川用水は、白壁土蔵や寺院の石垣を背景に、鯉が泳ぐ水辺の景観で知られています。城下町の記憶を残す通りに水が引かれ、町の景色と日々の暮らしをつないでいる場所です。

実際に歩いてみると、川というよりは用水路に近い印象で、石畳や土蔵の並びのそばを、思いのほか勢いよく水が流れていきます。白壁と水の対比がはっきりしていて、町の輪郭を静かに浮かび上がらせていました。

鯉と水辺の風景

瀬戸川用水の大きな特徴は、川面を泳ぐ色とりどりの鯉です。岐阜県の公式情報では、1,000匹余りの鯉が泳いでいるとされており、季節や時間帯によって見え方も変わりそうです。水路が長く続くため、数カ所で眺めるだけでなく、歩きながら景色の変化を追えるのも印象的でした。

周囲には柳が植わり、水辺にやわらかな陰を落としています。春に訪れた記録では、ツツジの花と土蔵の白が重なり、季節の色が町並みに添えられていたようです。水、木、土蔵の組み合わせが、派手さではなく落ち着いた記憶として残る景観になっています。

城下町の面影と日常の水

瀬戸川用水は、もともと約400年前に農業用水として築かれたとされています。現在も防火用水、流雪溝、夏場の打ち水などに使われ、地域の生活用水として欠かせない役割を持っています。観光のためだけに整えられた景色ではなく、暮らしの中で使われてきた水路であることが、この場所の見え方を少し深くしています。

レビューでは、昭和30年代までは住民の飲料水などにも使われていたという話や、1968年に川の美化を目的として鯉が放流されたという説明もありました。そうした背景を知ってから歩くと、単なる町の名所というより、生活と景観が積み重なってできた場所として受け取れます。

歩いて感じる飛騨古川の空気

訪れた人の記録では、平日だったこともあり、観光客は少なめだったようです。隣の高山市に似た景観を持ちながら、観光客向けの店が多すぎず、歩きやすかったという感想もありました。にぎやかな観光地というより、町そのものの呼吸が伝わるような静けさがあります。

昼食に入ったラーメン店でも、客の少なさを尋ねると「こんなもんだ」という返答だったという記録があり、観光地としての顔と、日常の町の顔が近い距離にあることがうかがえます。見応えのある景観がありながら、過度に整えられていないところに、飛騨古川らしい空気があります。

歩き方と周辺のつながり

農林水産省の紹介では、「瀬戸川用水の歴史探訪」というウォーキングコースも案内されており、飛騨市役所、まつり広場、瀬戸川用水と古い町並み、田園風景、飛騨古川駅を結ぶ流れで歩けるようになっています。町の中心から水辺、そして田園へと視線が伸びる構成で、町場だけでなく周囲の土地の広がりも感じられます。

瀬戸川用水は、飛騨古川の白壁土蔵の町並みを象徴する景観でありながら、生活の水路でもあります。観光の一場面としてだけでなく、町の時間や使い方を映す場所として見ると、印象が少し変わってきます。水音と鯉の動きに合わせて歩くと、城下町の静かな輪郭がゆっくりと見えてきます。