大阪府羽曳野市野 竹内街道
(2026/09/26 更新)
竹内街道(たけのうちかいどう)は、大阪と奈良を結ぶ日本最古の官道とされています。起源は推古天皇21年(613)に整備された「大道(だいどう)」にあり、難波と飛鳥の京を結ぶ道として機能してきました。現在は国道166号として、なお大阪と奈良をつないでいます。
この街道は、時代によって役割を変えながら続いてきました。飛鳥と大陸との行き来を担う「外交の道」、聖徳太子信仰を支える「信仰の道」、物資を運ぶ「経済の道」として、長い時間をかけて地域の暮らしと結びついてきた道です。
竹内街道は、堺から松原、羽曳野、太子を抜けて奈良へ向かいます。かつての道筋をたどると、古墳や古社寺、集落、峠道など、土地ごとの記憶が少しずつ重なって見えてきます。
大阪府の案内では、街道を知るための「竹内街道ウォーキングマップ」も用意されており、歴史や見どころを確認しながら歩けるようになっています。街道を単なる通過路ではなく、歩いて確かめる対象として捉えているのが印象的です。
南海本線「堺駅」から近鉄南大阪線「河内松原駅」までの区間は、約15.7kmと案内されています。起点となる大小路から南東へ進み、堺市役所を過ぎると、仁徳天皇陵古墳を右手に見ながら直進します。時間に余裕があれば、古墳の周遊路を一周してみるのもよさそうです。
大泉緑地を過ぎたあたりから西除川までは交通量が多く、歩きにくい区間もあるようです。そのため、大泉緑地の中を通って進むルートも示されています。木々の間を抜けながら、バードウォッチングを楽しみつつ進める点は、街道歩きの中に少し別の時間が差し込むようです。
近鉄南大阪線「河内松原駅」から「上ノ太子駅」までは約16.2kmです。このあたりは松原市南部から羽曳野市へと続き、応神天皇陵古墳をはじめ、大小の古墳や古社寺が並ぶ地域として紹介されています。
街道沿いには、古代文化の名残を訪ね歩ける環境があり、道そのものだけでなく周辺の地形や遺構も含めて歩く楽しみがあります。臥龍橋を越えると、飛鳥川の旧河川敷を利用した遊歩道「であいのみち」もあり、古墳時代・飛鳥時代を表現したモニュメントを通して、羽曳野の歴史や文化にふれることができます。
近鉄南大阪線「上ノ太子駅」から「磐城駅」までは約11.5km。峠を越えると、いよいよ奈良県に入ります。太子町付近は「王陵の谷」と呼ばれ、飛鳥文化の香りが漂う場所として案内されています。
途中には、道の駅「近つ飛鳥の里太子」があり、地元の特産品などが販売されています。旅の途中で地域の産物に触れられる場所として、街道歩きの節目になっています。竹内峠に立つ県境の碑を越えると葛城市へ入り、風情ある竹内集落を経て長尾神社へと至ります。
竹内街道は、古代の官道としての歴史を持ちながら、今も国道166号として使われ続けています。古い道でありながら、現代の交通や暮らしの流れの中に残っているところに、この街道の特質があります。
また、最古の官道“竹内街道”ルネッサンス構想推進協議会では、NPO、企業、行政が一体となって、街道と地域の魅力を掘り起こし、道案内の充実や安全な歩行空間の確保、みちづくりとまちづくりに取り組んでいます。開催経過を見ると、複数回にわたって協議が重ねられており、街道を今の地域とどう結び直すかが、継続して検討されてきたことがうかがえます。
竹内街道は、古代の都と都を結んだ道であると同時に、古墳や集落、緑地や峠、そして今の国道としての姿まで重なって見える道です。歩くことで、道の線だけではなく、その周辺に積み重なった時間も見えてきます。
ウォーキングマップを手に、堺から奈良へ向かって少しずつ進むと、街道が担ってきた外交、信仰、経済の役割が、土地の風景の中に静かに残っていることに気づかされます。古い道をたどることは、地域の過去を読むことでもあり、今の街並みを見直すことでもあります。