徳島県徳島市南佐古六番町3-11 佐古配水場
(2026/10/03 更新)
徳島市南佐古6-3-11にある「徳島市水道局佐古配水場旧ポンプ場」は、大正15年の創設時に造られた水道施設です。徳島市の水道施設のなかでも最も由緒ある施設とされ、平成9年には県内で初めて国の登録有形文化財に指定されました。
現在は、佐古の浄水場として広く市民に親しまれてきた建物として紹介されています。水を送るための施設であると同時に、近代の建築や設備の記憶を今に残す存在でもあります。
この建物の特徴は、赤レンガのイギリス積み外壁です。外壁の上には上げ下げ窓が並び、屋根はベルギー風に仕上げられていると案内されています。煉瓦造のポンプ場としての実用性を保ちながら、どこか整った表情を持つ外観です。
文化遺産オンラインの解説では、四周をイギリス積みの煉瓦壁で囲み、外観は簡素である一方、入り口部分のペディメント風の飾りが特異だとされています。水道施設らしい機能の建物でありながら、入口まわりに少し目を引く意匠が加えられているのが印象的です。
内部は一室構成で漆喰仕上げ、小屋組は軽量鉄骨のトラス組とされています。創設当初は、当時としては珍しい舶来品のドイツ・オット社製400馬力ディーゼル発電機が設置されていたという記録もあります。
現在は1,000馬力ディーゼル発電機によって非常時に備えているとのことで、施設としての役割は時代に応じて更新されてきました。それでも、近代水道の初期を支えた場所であることは変わらず、建物の背景には暮らしを支える設備の積み重ねが感じられます。
佐古配水場旧ポンプ場は、昭和60年に近代水道百選に選定され、平成9年に国の登録有形文化財となりました。徳島県では洋風建築が少ないこともあり、貴重な建物として扱われています。
水道施設というと目立たない存在に思われがちですが、この建物は地域の生活基盤を担ってきたことに加え、建築史のうえでも記録されるべき景観を持っています。街のなかで長く機能し続けてきた施設が、文化財として残されている点に、この場所の意味があります。
観光名所として大きく喧伝される場所というより、徳島の水道の歴史を静かに伝える施設です。赤レンガの外壁や洋風の意匠は、日々の暮らしの近くにありながら、少し時間の流れを変えて見せてくれます。
佐古のまちを歩くとき、このポンプ場は、街を支えるインフラがどのように積み重なってきたかを思い起こさせる存在として目に入るはずです。現在も非常時への備えを担いながら、登録有形文化財として当時の姿を伝え続けています。