長野県大町市平 高瀬ダム
(2026/09/20 更新)
長野県大町市の高瀬川上流にある高瀬ダムは、発電を目的としたロックフィルダムです。堤高176メートル、堤頂長362メートルで、ロックフィルダムとしては日本一の高さを持ち、日本第二位の堤高でもあります。ダムによってできた高瀬ダム調整湖はダム湖百選にも選ばれており、中部山岳国立公園内に位置しています。
このダムは、自家用車では行けない場所にあります。七倉山荘や七倉ダムの先へは、指定のタクシーか徒歩で向かうことになり、山の奥へ入っていく感覚が強い場所です。観光地としてのにぎわいというより、電源開発と山岳地帯の風景が重なった、静かな地点として印象に残ります。
入力された記録では、七倉ゲートの乗り合いタクシー乗り場から高瀬ダムまで歩いた様子が印象的です。片道約5.3キロ、1時間20分から1時間30分ほどの道のりで、舗装された道をたどることになります。途中には山の神隧道があり、多少ライトはあるものの、歩道は狭く、車も通るため、歩行には注意が必要です。
一方で、道中には綺麗な渓流がいくつかあり、山の中を流れる水の気配が近く感じられます。夏場は特に、涼しい空気が気持ちよく、ダムへ向かう道そのものがひとつの山歩きのように感じられます。
高瀬ダム調整湖は、エメラルドグリーンの湖面が印象に残る場所として語られています。背景には雪化粧の北アルプスがそびえ、晴れた日には湖と山の色の対比がはっきり見えるようです。黒部ダムのような広く知られた賑わいとは対照的に、こちらは登山者以外の姿が少なく、静けさが前に出る場所として受け止められています。
堤頂からの眺めは、特に紅葉の時期が名勝とされており、周囲の山々の色づきと巨大な堤体の組み合わせが、この場所ならではの景色をつくっています。観光だけで訪れても、山深いダム湖としての輪郭は十分に伝わってきます。
高瀬ダムは、裏銀座方面へのアプローチ地点でもあります。野口五郎岳や烏帽子岳などへ向かう登山者にとっては、通過点であり起点でもある場所です。周辺では希少動植物の保護のため一般車の乗り入れが制限されており、山域の環境を保ちながら人が出入りしていることがうかがえます。
また、ダムの奥には湯俣温泉へつながる道もあり、山と発電施設と温泉地が一体になったような奥行きがあります。こうした立地のため、単なる展望スポットというより、山を越えて進むための前線のような雰囲気があります。
訪問記録では、乗り合いタクシーが待機していなかったため徒歩往復になった例や、次はタクシーを使いたいという感想も残されています。道は全面舗装で歩きやすいものの、山の神隧道のように車の往来がある区間は緊張感があります。携帯の電波が入りにくいという記録もあり、山奥らしい条件を前提にした訪問が必要です。
高瀬ダムは、巨大さだけで押し出す場所ではなく、アクセスの制約や山道の感触を含めて記憶に残る場所です。ダムの規模、湖の色、北アルプスの景色、そして徒歩でたどる道の長さが重なって、静かな重みを持つ風景になっています。