旅旅

石動山を歩く、歴史とブナ林が重なる山上の古道と史跡

石川県鹿島郡中能登町石動山 石動山

(2026/07/05 更新)

石動山という山

石動山は、石川県と富山県の県境に連なる山で、標高はおよそ564〜565mとされています。中能登町の道の駅おりひめから車で約20分という案内もあり、山へ向かう道のりはそれほど長くありませんが、山中に入ると、歴史の気配と深い樹林が重なる独特の空気があります。

口コミでも「異世界に迷い込んだよう」といった印象が語られていました。派手な山ではありませんが、ブナ林の美しさや、苔むした石段、かつての寺院跡を思わせる石造物が点在し、歩くほどに景色の層が増していく山です。

歴史の山としての石動山

石動山は、かつて大きな寺院が立ち並んだ聖地として知られ、修験道や神仏習合の歴史を今に伝えています。山内には伊須流岐比古神社や大宮坊、各種の跡地が残り、石段や礎石、石柱などが往時をしのばせます。

明治初めの神仏分離や廃仏毀釈により多くの建物は失われましたが、その痕跡は山中の各所に残っています。単なる登山というより、史跡をたどりながら山を歩く構成になっており、古道や寺院跡に関心のある人にとっても歩きがいのある場所です。

よく整備された登山道と歩きやすさ

登山道はかなり整備されているとされ、事務所のある駐車場から山頂までは往復1時間ほどという声もありました。素人でも安心して登りやすい山という印象がある一方で、水で滑りやすい箇所もあるため、スニーカーよりはトレッキングシューズが向いていそうです。

山というよりは、公園や里山に近い感覚で歩けるという感想もありました。急な箇所はあるものの、道筋が比較的分かりやすく、ちょっとしたトレッキングとして向かいやすい山といえます。暑い季節でも樹林の中は比較的歩きやすく、夏場に山の静けさを味わいたいときにも向いているようです。

ブナ林と山上の景観

石動山の印象を強くしているのが、山頂付近に広がるブナの原生林です。標高がそれほど高くない山でありながら、豊かな植生が見られる点が特徴的で、森林の密度や空気の落ち着きが、この山の景観を支えています。

山頂まで行くと日本海が一望できるという声があり、天気がよければ富山湾や立山連峰、白山方面まで見渡せるとされています。山中の静かな史跡と、視界がひらけた地点の対比が、この山の記憶に残る部分です。

石動山を歩くときに見えてくるもの

山内には、石畳の階段、苔むした道、寺院跡を思わせる礎石、祠などが点在しています。五社権現に関わる跡地や、行者堂、拝殿、本殿、大宮坊など、山の中に信仰の痕跡が折り重なっています。

また、イワシが池や動字石のように、伝承を伴う場所もあります。こうした場所は、山の景観に物語を与えていますが、同時に、静かに残された遺構として見ると、石動山という場の厚みがより感じられます。

古道としての石動山道・多根道

石動山には、複数の登拝道があったことも知られています。石動山道や多根道は、その一部として今も歴史の道をたどる人たちに親しまれています。

多根道は、里から山へ続く古い道筋をたどるルートとして紹介されており、途中には谷沿いの小橋や石造物、庚申塔などが残ります。現在は一部で道形が分かりにくい箇所もあるようですが、古道の痕跡を探しながら歩く楽しみがあります。

石動山道についても、県境付近の切り通しや石畳が残り、人ひとりが通れるほどの細い古道の雰囲気が伝えられています。近代の車道とは違う、山へ向かう旧来の感覚が残る道です。

歩く前に知っておきたいこと

口コミでは、山頂までの散策にお弁当を持参するとよいという声もありました。途中で長く滞在するなら、休憩を挟みながら歩くつもりでいるとよさそうです。

また、車で事務所付近まで行けること、駐車場があることも案内されています。石動山資料館など、山の歴史を知るための施設も近くにあり、山歩きとあわせて史跡をたどると、石動山の見え方が少し変わってきます。

石動山の現在

石動山は、歴史遺産としての重みと、ブナ林を中心とした自然の静けさが同居する山です。昔の大寺院の面影は断片的に残るだけですが、その断片が山の風景に深みを与えています。

派手な観光地というより、歩いてこそ輪郭が見えてくる場所です。古道、寺院跡、祠、森、そして山上からの眺望がつながることで、石動山は今もなお、記録しておきたくなる山として立っています。