大分県大分市荷揚町3-31 アートプラザ
(2026/07/24 更新)
大分市荷揚町にあるアートプラザは、1966年に旧大分県立図書館として完成した建物です。設計は、大分市出身の建築家・磯崎新氏。現在は改修を経て、市民の文化・芸術活動を支える複合施設として使われています。
もともと図書館だった建物が、いまは市民交流の場や芸術文化の拠点として開かれているところに、この場所の時間の積み重なりが見えてきます。国の登録有形文化財にも登録されており、建物そのものが大分市中心部の景観を形づくる存在のひとつになっています。
アートプラザの見どころは、外観だけではありません。中に入ると、梁を柱ではなく壁に貫入させる構造によって生まれた大空間や、スキップフロアを多用した内部の構成が印象に残ります。大きくひと続きに見える場所の中に、性格の異なる小さな空間が組み込まれていて、歩くほどに視線や動線が変わっていきます。
トップサイドライトから差し込む自然光も、この建物の印象をつくる要素のひとつです。コンクリートの量感がありながら、光の入り方によって空間の奥行きが感じられ、重さだけではない表情を見せます。外から見た印象と、中に入ってからの広がりの差も、この建物ならではです。
館内では、磯崎新氏の建築作品に関する模型や資料が展示されており、建築の考え方に触れられる構成になっています。建物を見学することと、作家の仕事を知ることが重なっているため、空間そのものがひとつの展示のようにも感じられます。
レビューでも、建物の中を回ること自体が楽しいという声や、磯崎氏の仕事を追う中で訪れたという記録がありました。外観の印象から入って、内部で空間の変化を確かめ、資料展示で背景を知るという流れは、この施設の性格に合っているようです。
アートプラザの1階は市民ギャラリーとして利用されています。展示や創作活動の場があることで、建築文化の保存だけでなく、いまの市民活動にもつながっているのが特徴です。
美術作品や資料の展示に加え、廊下や階段などの通路は写真撮影が可能と案内されています。ただし、展示作品の撮影や公開には一定のルールが設けられており、施設としての運用が丁寧に整えられていることがうかがえます。文化財として大切に扱いながら、日常の利用にもひらかれている点が印象的です。
市役所に隣接する場所にあり、大分駅から徒歩圏で訪ねられる立地も、アートプラザの特徴のひとつです。大分市中心部を歩く中でふと現れるこの建物は、周辺の街並みの中で少し異なる存在感を放っています。
夕方に周囲を歩いていると、北九州市立美術館を思い出したという感想もありました。磯崎新氏の建築に通じる造形の印象が、街角でふいに目に入ることもあるようです。大分市には他にも磯崎氏の作品があると案内されており、アートプラザはその建築群をたどる入口のような場所にもなっています。
アートプラザは、過去の図書館建築をそのまま残しただけの場所ではなく、改修を経て、文化情報の交流の場として使われ続けている建物です。1960年代の公共建築のかたちと、現在の市民利用が重なり合っている点に、この施設の面白さがあります。
建築を見に行く場であり、展示を見に行く場であり、街の記憶に触れる場でもある。そうしたいくつもの役割が、荷揚町の一角に静かに重なっています。大分市で磯崎新の初期作品に触れたいとき、アートプラザはその代表的な場所のひとつです。