旅旅

多摩湖と狭山丘陵に広がる村山貯水池 堤防の上で眺める東京の水源

東京都東大和市多摩湖1丁目 村山下ダム

(2026/09/17 更新)

村山貯水池とは

村山貯水池は、東京都東大和市の狭山丘陵の渓谷に造られた人造湖で、多摩湖の通称でも知られています。東京都水道局の案内では、村山貯水池と山口貯水池は、狭山丘陵を利用して造られたアースダム形式の貯水池とされています。東京の水道を支える水源のひとつとして位置づけられており、東村山浄水場や境浄水場へ原水を送るために整備されました。

湖としての景観と、都市の水道施設としての役割が重なっている場所で、散策の途中に水面を眺めるだけでも、ここが日常の水を支える場所であることが伝わってきます。

堤防の上を歩く

村山下貯水池の堰堤の上は、歩いて通れる遊歩道になっており、ジョギングやウォーキングのコースとして利用されています。堤体は土を盛り固めて造られたアースダムで、断面は台形です。比較的高さが抑えられているため、高所が苦手な人でも湖の景色を落ち着いて眺めやすい印象があります。

堤防の上からは、西側に貯水池、左側に狭山公園が広がり、視界の抜けがよい場所です。晴れた日には富士山が望めることもあり、空の広さと水面、山並みがひと続きになって見えます。ベンチも置かれているので、歩きながらひと休みすることもできます。

水を蓄える仕組み

村山貯水池は昭和2年に建設され、ダムの高さは32.6m、長さは610.0mと案内されています。多摩川水系の柳瀬川に建設され、小作取水堰や羽村取水堰から取水した水を貯留し、浄水場へ導水する役割を担っています。村山貯水池は上貯水池と下貯水池に分かれており、山口貯水池とは連絡管でつながって一体運用されています。

こうした施設は、普段の街歩きでは意識しにくい存在ですが、東京の水道を支えるバックアップ水源として、確かな役割を持ち続けています。湖の静けさの背後に、都市を支える仕組みが重なって見えるのが、この場所の特徴です。

景色と建築の記憶

村山下貯水池の第一取水塔は、重厚なドーム屋根とアーチ窓、タイル張りの外壁が特徴で、東京都の「都選定歴史的建造物」に選定されています。貯水池のシンボルとして親しまれている建物で、機能を担う施設でありながら、景観の中で印象を残します。

また、堰堤からは奥多摩の山並みが一望でき、春の桜、秋の紅葉、バードウォッチングなど、季節ごとの自然を楽しめると案内されています。実際に歩くと、人工の構造物と周囲の緑がゆるやかにつながり、水辺というよりも大きな丘陵の風景の一部として感じられます。

周辺の歩き方

村山下貯水池の堤防上広場へは、西武多摩湖線の武蔵大和駅から徒歩圏と案内されています。多摩湖を一周する人たちの多くが、このダムの上を通るようで、湖畔を巡る散歩やサイクリングの途中に立ち寄りやすい場所です。

サイクリングロードは、武蔵小金井の「水の神殿」から多摩湖の「村山下ダム」まで、約11kmをほぼフラットに走れると紹介されています。走り終えたあとに堤防の上で景色を眺めると、移動の道のりと湖の静けさがつながって、少し印象に残る時間になります。

記念カードと節目

2024年10月には、村山上貯水池の完成100周年を契機に、村山上貯水池完成100周年記念カードと村山・山口貯水池カードが作成されました。配布は東京都内の複数の施設で行われ、貯水池の存在をあらためて知ってもらう取り組みとして案内されていました。

日々の生活では見えにくい水源施設ですが、記念カードのようなかたちで手元に残ると、湖や堰堤の風景が少し身近になります。多摩湖を訪ねるときは、水面の景色だけでなく、そこに積み重なってきた水道施設としての時間にも目を向けたくなる場所です。