旅旅

厚東川ダムと小野湖を歩く 宇部に残る戦前着工の重力式コンクリートダム

山口県宇部市大字木田 厚東川ダム

(2026/07/28 更新)

宇部市木田にある厚東川ダム

厚東川ダムは、山口県宇部市木田にある重力式コンクリートダムです。厚東川水系厚東川にかかり、昭和25年、1950年に完成しました。堤高は38.8メートル、堤頂長は162メートルで、数字だけを見ると大規模なダムというより、幅を持った堤体が印象に残るタイプです。

このダムは、治水、かんがい、上水道、工業用水、発電を目的として造られました。現在も山口県が管理しており、ダムカードの配布も行われています。

戦前に起工し、戦後に完成した背景

厚東川ダムの特徴としてよく語られるのが、その建設の経緯です。戦前に工事が始まり、戦時中に中断を挟み、戦後に完成しました。ひとつのダムに、戦前・戦中・戦後という時代の流れが重なっていることが、この施設に独特の重みを与えているように感じられます。

地元で語られる「宇部にとって歴史あるダム」という受け止めも、こうした背景と重なっているのでしょう。完成から長い年月がたった現在も、地域の暮らしや産業を支える施設として位置づけられています。

堤体とゲートに見る存在感

厚東川ダムは高さこそ38.8メートルですが、堤頂長162メートルの横の広がりがあり、現地ではその幅のある構えが目に入ります。レビューでも、ゲートが多く、上部のクレストゲートは一度リニューアルされたとあり、施設として更新を重ねながら使われてきた様子がうかがえます。

雨のあとには放流が重なり、全ゲートが開いた状態では迫力があったという声もありました。一方で、晴天時にはゲートが閉じた静かな表情を見せることもあり、同じ場所でも水位や天候で印象が変わるダムです。

小野湖と周辺の環境

厚東川ダムの周辺には小野湖が広がっています。レビューでは「ダム自体は小さいけれど湖は非常に広大」といった感想も見られ、ダム本体と貯水池のスケール感の違いが印象に残る場所のようです。

山口県の案内では、小野湖の中心部に体験学習施設「アクトビレッジおの」があり、環境教育や地域交流の拠点として利用されているとされています。また、夏季にはEボートによる小野湖交流ボート大会が行われるほか、小野湖周辺は自然に囲まれ、日本でも有数のオシドリの飛来地としても知られています。

湖の周辺には、最近はレストランやカフェができているという声もあり、静かなダム湖の風景のなかに、少しずつ新しい立ち寄り先が加わっているようです。

まわり道や通行止めに注意したい区画

現地の感想では、管理棟から先が通行止めになっていたという記録がありました。また、ダム周辺の道は廃道化している場所が増えてきているという声もあり、車で向かう場合は道の状態に気をつけたいところです。

一方で、別の訪問記では通行止めではなかったものの、結果的に廃道化した道を通ることになったとあり、周辺道路は一様ではありません。ダムそのものだけでなく、たどり着くまでの道のりにも、この場所らしい時間の積み重なりがあります。

宇部の学びと記憶に残るダム

地元の小学生が社会見学で訪れたという声もあり、厚東川ダムは宇部の暮らしの中に長く入り込んできた施設だとわかります。近くには兄弟ダムとされる宇部丸山ダムもあり、両者を合わせて学んだ記憶を持つ人もいました。

発電ダムとしての役割や、宇部丸山ダムとの水位差、送水ポンプ設備の話など、ダムの機能に目を向けると、見た目以上に複雑な仕組みがあることも分かります。堤体の姿だけでなく、こうした運用の背景もまた、この場所の記録として残しておきたい要素です。

現在の姿を見に行く場所として

厚東川ダムは、単に水をためる施設というだけではなく、宇部の産業や生活、そして戦前から戦後にかけての時代の変化を映した場所でもあります。堤体を眺め、小野湖を見渡し、周辺の道や施設を確かめながら歩くと、ダムが地域に根づいてきた時間の厚みが伝わってきます。

管理棟の先は立ち入りに制限があることもあるため、現地では案内に従いながら、無理のない範囲で周辺の景観を楽しむのがよさそうです。